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CUE DIARY キューダイアリー

2005

5/30

18:45

佐藤重幸

<高度7000メートルより>

佐藤重幸

当たり前に思える事が、実は当たり前ではないという事に気付かされる瞬間は多々ある。
僕の場合、それは日常生活において実に様々な場面で感じる事が多い。
風邪を引いて健康のありがたさを感じるなんていうのは、一番分かりやすい例だろう。
この「当たり前」を「ありがたい事」に感じる事ができたら、
人はもっと幸福感を得て生活できるんではないだろうか。

前置きが長くなってしまったが、
僕は今そういった幸福感を味わいながら飛行機に乗っている。

右手の窓を覗くと、十和田湖の雄大な姿が見える。
この高さから見られる事‥‥それ自体に自分の生まれてきた時代の素晴らしさ、
そしてその時代に生まれる事のできた自分の運の良さを感じずにはいられない。

大袈裟な表現をすれば、
飛行機が現れる前、この十和田湖を生活の糧として暮らしてきた人は確実にいる。
それこそ「俺はこの湖の事で知らん事はない」と豪語していた人はたくさんいただろう。
もしかしたら「この湖の全貌を見たい」と言って、山に登った若者もいたかもしれない。
しかしそんな人達も、この雲の上からの十和田湖は一生見る事なく死んでいった‥‥。

全く僕は運がいい。
彼らに比べて何の苦労もする事なく
「ただこの時代に生まれただけ」という幸運でもってこの十和田湖を見ているのだ。

昔、人間にとって雲は「見上げる」だけの存在だった。
しかしその雲を僕は今「見下ろし」ている。
飛行機を最初に空に飛ばしたのはライト兄弟なのかどうかは定かではないが、
空を飛び、大地を遥か下に感じた時の彼らの気持ちは、容易に想像できる気がする。

美しい。美しい世界だ。






という文章を飛行機の中で書いていた。
そしてこれを読み、初めてPHSを手にした大学生の頃の事も思い出した。
あの感動は未だに忘れられない。
今は携帯だ。メールも写真もショッピングも‥‥
僕が大学生の頃に比べたら携帯の機能も格段に進化した。いや、し続けている。
「携帯って便利だなぁ~~」
未だに僕の口癖だ。生まれた時にはもう携帯があった今の若者に比べて、
その進化の過程を経験してきた僕は、より幸福を感じる事ができている。

しかし、だ。

僕が死んでしまった近い未来。
今では想像もつかない様なテクノロジーは確実に生まれる。
その時は‥‥幽霊になってもそれを体験したい。

<まとめ>
「しあわせは いつも自分の 心がきめる。      みつを」