2002年10月18日〜22日まで中国・無錫市で開催された第11回金鶏百花映画祭(The Golden Rooster-A Hundred Flowers Film Festival)で映画「man-hole」は公式招待され、待望だった海外での初上映を果たしました。これは今年が日中国交回復30周年にあたることから初めて設けられた日本映画デーの参加作品として、「海は見ていた」(熊井啓監督、清水美砂、遠野凪子、永瀬正敏)、「笑う蛙」(平山秀幸監督、長塚京三、大塚寧々)と並んで招待されたものです。金鶏百花映画祭は中国映画家協会が主催して’85から毎年開催されているもので、映画雑誌主催の映画祭と合体して現在の名称になって11回を数える中国のアカデミー賞と呼ばれる国内最大の映画祭。これまでにもチェン・カイコー監督やチャン・イーモウ監督といった世界的巨匠の作品がグランプリである金鶏賞に輝き、主演女優賞にはコン・リーやチャン・ツィイーといった国際女優の仲間入りを果たしたスターを輩出している。金鶏賞を受賞した「初恋のきた道」や「山の上の郵便配達」は日本でも公開されロングラン公開の人気を博しました。開催地を毎年変えており今年は紀元前から栄えた古都として知られる、東洋のベニスの異名もある無錫市。カンヌやベネチア映画祭での受賞作品が中国の観客に公開される映画祭としても広く知られ、19カ国から400人を超える映画関係者が集いました。鈴井貴之監督は18日夜の開幕式に合わせて無錫入りしました。開幕式の会場となったのは市内にある巨大なオープン・スタジアム。折りしも経済見本市が開催されていたこともあって合同の開幕式となったとのことですが、鈴井監督ら海外からの参加者を乗せたバスは公安(警察)のパトカーやバイクに先導されて向かったということで、スタジアムに着いた鈴井監督はあまりの規模の大きさにぶったまげたそうです。参加者実に4万人!ワールドカップ並みです。舞台ではチャン・ツィイーがオープニング・セレモニーで姿を現したかと思えば、京劇風の華麗なステージあり、また「無錫旅情」のヒットで名誉市民になっているという歌手の尾形大作さんまで登場。とにかく凄い数の花火が上がりスケールの大きさは桁外れ!その様子は中国全土の生中継されていたそうです。
鈴井監督は翌19日午前中、中国映画家協会が主催する日中映画フォーラムに日本作品を代表してパネリストで参加。海外で評価される作品ほど日本国内では興行的に成功していないなど日本映画の抱える問題点に触れながら、中央からではない映画発信の意義や抱負について熱く語りました。また中国映画などアジア映画への感心が日本でも高まってきており、お互いに刺激しあって良い作品を生み出していきたいと話していました。フォーラムの後、鈴井監督は中国中央電視台(中国のNHK)や上海テレビ、国営新華社通信の取材を受け、日本映画に対する関心の高さが感じられました。鈴井監督もホテルのテレビですぐ放送されているのを見て、非常に注目されていることを感じたようです。10月22日までの映画祭開会中に上映館を変えて3回スクリーンにかけられたのですが、第1回目は19日の夜でした。日本語に翻訳すると「マンホールと観客の対面式」と大きく書かれた看板がかかる600人は入ると言う大ホールでした。鈴井監督が会場に到着した時には20人程しかいなかったので「・・・」となったということですが、控え室から出る頃には「前売券は完売していますから」の話を裏付けるように、会場は立錐の余地もないほどの満員。監督もホッとしたことでしょう。割れるような拍手に迎えられて、ようやく鈴井監督も笑みがようやくこぼれます。花束を渡された鈴井監督は、「日本の北の端、北海道で作った映画がこうして中国に迎えて頂き、大変光栄」と挨拶し、会場からまた拍手が沸き起こりました。19日の深夜、ようやく主演の安田顕さん、三輪明日美さんが無錫入りしました。翌20日、市内の迎賓館で日本映画デー開幕式があり、ようやく3人が壇上に立ちました。この後、パリ・シャンゼリゼ通りと見まがうばかりにデカイ無錫の目抜き通りで面した吟春シネマコンプレックスで、下水道2度目の上映です。こちらは約70席ほどの小さなスクリーンですが、中国では標準的なのだとか。ここでも前売りは完売。急きょ椅子席を足して立ち見が出るほどでした。中国の観客の生の反応が聞けるとあって鈴井監督たちも期待と不安が高まります。中国では本編が終わると、まだエンドクレジットが流れていても、観客席が明るくなって上映が終わってしますのです。これにはちょっとビックリ!鈴井監督も「最後の監督スーパーは関係ないってことですね」と笑っていました。上映後、何人かの観客に突撃インタビューしました。「私は(映画の)主人公と同じ年の息子がいるので大変感動した。この映画は親子という世代の違う間のコミュニケーションに役立つのではないか」「主人公たちが下水道の中で希望を見つけるというテーマが良かった」
安田さんは「日本より観客の皆さんの反応が素直。映画ってこんなに凄いものだったんだと改めて発見しました」。三輪さんは「反応がビビッドで凄い。2年前に北海道に行って本当に良かったと今しみじみと思っています」。鈴井監督は「上映されて嬉しいというよりも、ホッとしました。マンホールで描いたことが伝わるのかなという不安はありましたからね。でも伝わっているようで、嬉しいし、ホッとしています」とそれぞれコ メントをくれました。
第11回金鶏百花映画祭 「下水道」上映報告
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