<<STORY>>

佐々木耕一(29)は実直な警察官。その実直さゆえ、拳銃使用に関しては常日頃から抵抗を感じ、普段勤務の際も自分の拳銃には弾を入れていなかった。そんなある日、警邏中に入った無線からは『通り魔殺人事件発生』の知らせ。犯人を見つけ追走。しかし犯人は通行人を人質にする。人質の首にナイフを当て抵抗する犯人。警官・佐々木は拳銃を構え威嚇するが、その拳銃に弾は入っていない。
犯人は人質を盾に逃走。翌日、人質は死体となって発見された。

藤沢聡(29)は教会の前にいた。本来ならば自分の結婚式をする予定であった教会。しかし相手の女性は、2ヶ月前、通り魔殺人事件の犠牲となり、もうこの世にはいない。その事件の犯人は今も逮捕されていない。しかもその事件の際、警察の対応の悪さから、犯人を取り逃がし彼女が犠牲になったと聞き、藤沢は探偵を使い、その警察官をも捜そうとしていた。犯人逮捕は警察に任せ、自分はその警察官を見つけ法的手段をもって彼女を弔おうと考えていたのである。

九重達也(29)はススキノの外れで、バーを経営していた。バーといっても小さな店。決して経営は楽なものでは無かった。九重はかつて、オリンピックの代表候補にもなったジャンプ競技の選手。しかし、オリンピックの半年前、交通事故に遭い二度と空を飛ぶ事が出来なくなってしまった。しばらくは悲劇のヒーローともてはやされたが、5年も過ぎた今となっては、誰も覚えてもいなかった。

横井茂(29)は製薬会社のエリート課長。会社内の派閥争いの先兵として、様々な形で暗躍する切れ者。何不自由なく生きて来たエリート街道。しかし、彼の人生の中には、唯一の汚点があった。それは小学生の一時期、転校した学校で虐めにあっていたのである。もう遠い昔の話なのだが、彼はそれが忘れられなかった。

そんな4人が小学校の同窓会で再会する。18年ぶりの再会。上っ面な話で盛り上がる中、誰かが呟いた。「すべてを忘れて、子供の頃から人生をやり直したい」と。辛く重い現実を抱えた今誰もが心の中で同意していた。

4人は九重の経営するバーで、客の小杉という男から過去を忘れる方法があると言う話を聞く。
とある製薬会社の奥に、厚生労働相の認可が降りず、眠っている『記憶を操作出来る薬品』があるというのだ。倫理的にも問題があり公には出来ない。つまりは暴力団の金庫の中身みたいなもので、盗み出しても警察には通報されないヤバいものだというのである。小杉はそれを盗み出す事を彼等に提案して来た。

冗談半分に聞いていた4人ではあったが、今が重苦しい警察官佐々木、婚約者を失った藤沢、元ジャンプ選手の九重はその計画に参加することにした------。

 


鮭は必ず、その自分の故郷である川に戻って来る。それは子孫を残すための産卵であり、親の鮭はその産卵を終えると息絶えるという。つまり、川をさかのぼり故郷に戻るというのは、死をも意味するのである。


<<PRODUCTION NOTE>>

テーマは、Made in Hokkaido。      

北海道を舞台にした映画やドラマは数多く存在する。

それらはどれも、まるで『絵はがき』を並べたように美しい景色の数々。

北海道に住む者とって果たしてそれは真実なのだろうか?

それで満足しているのであろうか?

幻想の世界からの覚醒、現実を見据えなければならないのでは?

鈴井監督は前作で『北海道発信』をテーマに掲げ、映画を制作した。そして今回は、その発展形として『Made in Hokkaido』を掲げ新たなる挑戦に踏み出す。道産子の手による北海道を舞台にした映画。前作では結果的に、キャスト/スタッフの8割が東京であった。
しかし、今回の作品は携わる者のほぼ95%は道産子によるものとなる。もちろん北海道在住の者がほとんどではあるが、東京在住でも出身が北海道であったり学生時代を札幌で過ごしていたりと、北海道に縁のある者たちが結集し、今作品を製作して行く。
正直、北海道ブランドという純度の高い作業は、障害の数も多い。しかしながらそれらのハードルを乗り越える事は、北海道に住み、北海道に骨を埋める者にとっては大きな意味を感じるのである。

上っ面な世界観では無く、リアルな北海道。それは自然に囲まれた美しい風景ではなく具体的ではないのかもしれないが、スクリーンに滲み込んだ、この映画に携わる人々が持つ北海道へ対する『愛』がスクリーンにしみ込み、かもし出される事になる。

 

 


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